私は昔の建築がすきなのですが、とくに民家に心ひかれます。
住んでいた人の息づかいが感じられるからでしょうか。
国分寺市内に昭和初期に建てられた古民家を改造したカフェがあると聞き、たずねてみることにしました。
最寄りは国立駅です。南口を出て東に向かっててくてく歩きます。
住宅街の坂道をのぼって突き当たりを右に行ったら行き止まり。あれれ。
もどって線路沿いの道をぐるりと回り込むと、案内看板が見えてきました。

竹垣に沿ってしばらく歩きます。
おとぎ話の世界に迷いこんだような入り口

着きました。駅からここまで、およそ8分。
まるでおとぎの国の入口のような木のゲートがお出迎え。

竹林に囲まれた小道を進みます。
楽しいオブジェたち
とても広いお庭で、森の中の隠れ家をたずねて行くような気分です。

ところどころに楽しい住人たちがいます。

ワンちゃんの案内にしたがって左へ。


先に進んでいくと。
歴史を感じさせる洋館

りっぱな洋館が現れました。

すごくしっかりした作りです。
絵本で見た西洋の貴族や大金持ちのお屋敷のようです。

三角屋根の玄関。
重厚で、歴史を感じます。
レトロな空間
中へ入ると、気さくな店員さんが明るく出むかえてくれます。名前と予約番号を伝えると、部屋に案内してくれました。

庭を見わたせる明るい角部屋です。





レトロな家具や調度品がいっぱい。
タイムマシーンで昔にさかのぼったような気持ちになりました。
メニューも充実

木の表紙のメニューを開くと。


おいしそうな料理がならんでいます。


デザートやドリンクメニューも充実。

アルコールメニューにも心が動きましたが、今日はガマンガマン。
和食がメインのおきもと御前を注文することにしました。セットのドリンクはコーヒーで食後に。
でも、カフェおきもとで栽培されたミントを使ったミントティーにも心引かれます。迷いましたが、あわせて頼むことにしました。
おきもと御膳

きました、おきもと御膳。美味しそうですね。
見た目にもきれいです。
料理に使われているお野菜は、国分寺でとれた「こくベジ」だそうです。

まずはベジファーストということで、サラダからいただくことに。
野菜の味がしっかりと感じられ、ドレッシングのさわやかな酸味に箸がすすみます。

お次は、こくベジのビーツ(赤大根)を使った冷製ポタージュスープ。
かわいらしいピンク色ですね。
輪切りのオクラが浮かんでいます。
濃厚なポタージュのまろやかさのなかに、ほのかなビーツの風味。

メインは太刀魚の甘味噌焼きです。
お味噌の味付けが濃すぎず薄すぎず絶妙で、魚の旨味を十分に引き出しています。
ニンジンとダイコンを細く切ったあえものは、心地よい歯ごたえがあり良い箸休めに。

これは麦ごはんですかね。ふっくらと炊きあがっています。
体にも良さそう。

副菜はこちら。
和洋のおかずが並んでいます。

食後のコーヒーで一息。
カップとソーサーも上品でかわいらしいですね。レトロな洋館の雰囲気にぴったりです。

ミントティーも来ました。

さわやかな香りがいっぱいに広がります。
料理もドリンクも大満足です。ごちそうさまでした。
和館も魅力的

こちらの古民家には、和館もあります。残念ながら中には入れないのですが、せっかくなので外から少し見てまわることにします。



和館もステキですね。なんだか落ち着きます。

和館と洋館が渡り廊下でつながっています。
奇跡的に残った貴重な建物

現在カフェとして使われている洋館は、1933年にある貿易商の別荘として建てられました。国分寺市内では、大正時代ごろからお金持ちの別荘が国分寺崖線(がいせん)沿いにたくさん建設されており、こちらの家もそのひとつです。
まもなくこの洋館は沖本家にゆずられ、家族の住まいとなりました。1940年には来客用として和館が増築されました。
洋館・和館とも大きな改修はなく今に至っており、建てられたときそのままの様子を見ることができます。
奇跡的に残った貴重な建物を沖本家のご家族から今のオーナーさんが引き継ぎ、自費で修復・保存。2020年に洋館をカフェとしてオープンさせました。
2021年には洋館・和館が国の登録有形文化財に指定されています。
カフェの売上は、こちらの建物を守る費用として使われます。いつまでも残して欲しいですね。
国分寺の地に残された貴重な古民家の雰囲気を味わいに、ぜひ足を運んでみてください。
カフェおきもと
住所 : 東京都国分寺市内藤2-43-9
アクセス : JR中央線「国立駅」から徒歩約8分
TEL : 042-572-1234
営業時間 : 月・金・火曜日 : 11:00〜15:30
土・日曜日 : 11:00〜17:00
【夜カフェ】(要予約、1組1部屋)
金・土曜日 : 18:00〜20:30
定休日 : 水・木曜日