個人経営の飲食店が多い国分寺。そうなると、お店をやる上では「他と違う、何か」がとても重要になってくると思います。
今回ご紹介する杉乃屋さんは、そういった部分に並々ならぬこだわりを持って国分寺にやってきた、気鋭のお店。2025年4月にオープンしたばかりですが、これはとっても期待大、です!

ということで、早速お邪魔してきました。
大きな照明で明るく照らされた入り口の脇に、敢えて小さな店名プレートが印象的に光っています。
ガラスの引き戸に、奥に見える赤い壁。どことなく和風な雰囲気もただよいますが・・・。
もうこれだけで、「一体なんのお店なんだろう?」と足を止めたくなる衝動に駆られますよね。

いやー、これまた敢えての小さなメニューを取り付けた、「営業中」の立て看板。
淡い暖色系のフロアタイルに、鮮やかなブルーがよく映えていますね。
早速お店の中に入ってみましょう。

料理のコンセプトを反映させたこだわりの内装
ガラスの引き戸を開けると、外からも見えていた特徴的な赤い壁に再び目が行きます。 鮮やか過ぎず、上品な印象。なんとも言えない、絶妙な赤ですね!
よほどのこだわりがなければ、この色の壁には、なかなかならないのではないでしょうか。

サイドの壁は白系なので、視線はグッと突き当たりまで吸い寄せられます。テーブルと建具は同一素材の木で全体を落ち着かせ、床材はスモーキーなグレージュ色。椅子の黒で引き締め効果。照明はモダンな電球型。見事な色配分です!
月並みな言い方ですが、「和モダン」というイメージがしっくり来ます。
SNSでも掲げている「和洋のフュージョン料理」というのがコンセプトですから、インテリアのイメージも完璧にそれに寄せているということですね!
奇をてらっていないようで、細かいこだわりが随所に感じられて、個人的にはとても好みです。
突き当たり右手にチラッと見えている席はどんな感じでしょうか?

おぉ〜、これはまた。赤い壁に囲まれたスペースでした。
個室というわけではないですが、入り口からは全く見えないので、プライベート感がありますね。
何かの打ち上げとか、ちょっとした集まりにとても良さそうな雰囲気です。
ソフトドリンクも手抜きなし!充実ドリンク
内装がこれだけこだわってますから、肝心のドリンク&フードはどうかと言えば。

まずは、ドリンク。ものすごくたくさんの種類、というわけではないですが、めちゃくちゃ厳選しているのが分かります。
生ビールは、エビスでした。これはいただいておかないと。

よく冷えたグラスに、盛り上がった泡!広告ポスターのような完璧な生ビールですねっ。
次は、ソフトドリンクとお茶割りに使っているお茶。「知覧紅茶」「加賀棒ほうじ茶」があるとは!

こちらが知覧紅茶割り、です。
無糖なのに、なぜか甘味が感じられます。本当に不思議です。おいしいです。
ノンアルコーナーに、無糖のお茶だけで4種類も揃えているお店はそうそうないと思います。
もちろんジュース類もこだわりまくってます。
これなら、ノンアル派の人も飽きずにいろんな種類のドリンクを楽しめますよね。
日本酒についても、どこにでもありそうな銘柄をあえて外してるのがよく分かります!
東村山市に蔵元がある「屋守(おくのかみ)」が2種類あるのもステキです。

まだまだあります、ドリンクメニュー。ワインはズラッと2ページ分です!

グラスで飲めるものだけで、スパークリングも合わせると7種類!
ひとりでも全種類飲みきれないくらいです。「選べる」っていうのが、とにかく嬉しい♪

一口飲んだ後の画像ですが、スパークリングワインは素敵なシャンパングラスに注がれていました。
全部食べてみたくなる!?驚きの連続のフード
ドリンクでもうこんな調子ですから、フードは一体!?
まずはメニューからですが、いきなり手書きモードです。

「季節の素材を使って」いるわけですから、ドリンクよりはひんぱんにメニューが移り変わって行くということなのでしょうね。
それにしても、手書きフードメニューって、なぜこんなにもおいしそうに見えちゃうの?(笑)。
ということでここからは、フードをできるだけたくさん紹介していきたいと思います!
種類を多くしたかったので、メニューによっては頼み込んで特別に、ハーフサイズにしていただきました。ワガママを聞き入れてくださってありがとうございます!

こちらはお通し。この日はとうもろこしプリンです。
オーナーさんのご実家が農家さんで、そこで採れたものを使用されてるそう。甘みがすごいです!

こちらは、なめこアンチョビ冷奴に、スプラウトとケールのシーザーサラダ・自家製にんじんドレッシング。
早速フュージョン感が炸裂しています(笑)。サラダはドレッシングがすごくおいしいし、冷奴は、なめことアンチョビとか、なかなか思いつかないですが、これは絶品でした!
お皿もとっても素敵です。良い塩梅に「居酒屋」感出てますねー。

お次はお店の名物のひとつ、うなぎのスペイン風オムレツです。
これはもっと厚切りなのですが、お願いして薄切りバージョンに・・・・。
なんというか、もう世界中探しても、ここにしか無いのでは!?と思うような唯一無二感です。
オムレツは伊達巻きのようなふんわり食感で、うなぎのほわっと感と見事にマッチ、王道のスペインオムレツとはまた違う、でも特別なオムレツです!これはオススメです♪

こちらはブッラータチーズとフルーツトマト。特別にハーフサイズです。
盛り付けが美しいですね〜、お皿がまた、居酒屋寄りメニューとはあえて違う、洗練された雰囲気なのが良きです。チーズ、トマト、バジルソースのすべてが上質素材でしたよー。

そして、当初より気になっていた、おとなのチータラアラビアータ(ハーフ)がこちらです。
この衝撃的にオシャレなビジュアル・・・!チータラがこんな風になるなんて、驚きです。
細長いチータラしか見たことがなかった私にはもう、想像のナナメ上。チータラもビックリですよ。
見た目だけでなく、味も衝撃的においしいですし、ワインにも日本酒にも、ビールにも、どんなドリンクにも合いそうな、これぞフュージョン、ですね。

続きまして、こちらは米沢牛コンビーフと枝豆の白和(これもハーフです)。文字で見ているのとは全然違う、またまた想像の斜め上を越えたビジュアルでやってきました。
コンビーフと白和って、こんなに合うんですね。そして、カリッとしたバゲットが最愛のパートナーです。山盛りのカイワレもなくてはならない存在感です!

まだまだあります、こちらは山梨県南アルプス鹿のたたき。
すごいっ!国分寺界隈でジビエのたたきが食せるとは・・・!! 猟師さんと契約している卸業者さんから、直接仕入れているのだそうです。
もちろん臭みは一切なく、柔らかくて実においしいです!これは食べたほうがいいですね。
食材だけでなく、お皿もとても特別感があります。ガラスの透明感が、ふんだんに散らしたスプラウトの緑と、鹿肉の赤のコントラストをより一層引き立てていて、爽やかな印象。
おかげで、ずっしり来そうなお肉も、軽やかにパクパクと食べられてしまいます(笑)。

こちらは、ムール貝の大吟醸蒸しです。もう、いちいちひねってきますよね(笑)。
添えたアオサで、磯感は頂点に達しています。ムール貝と日本酒が合うなんて、初めてかも。。。

いよいよ最後になりますが、こちらはしいたけとマッシュルームのアヒージョとバゲットです。
この、グッツグツに沸騰してる感じ、伝わりますか!? 本当に、どこまでも驚かされます。
熱すぎて、最初は気づきませんでしたが、実は小さくカットしたベーコンが濃厚なダシとなっていて、なかなかにパンチが効いたおいしさでしたよ。

最後までアツアツで、お皿を下げていただいたあとのテーブルが熱くなっていたくらいです!
妥協しない情熱のふたりのシェフと包み込む優しさの店主
冒頭にも書きましたが、杉乃屋さんは2025年の4月にオープンしたばかり。取材当時はオープンから2ヶ月も経たない時でした。にも関わらず、この完成度の高い料理にドリンク、そして内装。
一体、お店をやっているのはどんな人たちなのでしょうか?
運よくお客様が一段落したタイミングで、詳しくお話をうかがうことができました。

まず、普段お店にいらっしゃるのが二人のシェフ、杉山さんと野口さん。そしてオーナーさんが杉本さん。
店名に合点がいきましたね!ただ、「杉野」だとなんか堅苦しいので、「野」を「乃」にしたのだとか。どこまでもこだわりますね・・・(笑)。
野口さんは、小さい頃から「食」が大好きで、飲食業界一筋。杉山さんは、ひょんなことから飲食に転職。そして、銀座のスペイン料理店で二人は出会います。
なるほど、メニューがどことなくスペイン料理っぽいのは、そういうことだったのですね。
そしてお二人とも経歴十分のバリバリのプロ、料理の完成度の高さも納得です。
オーナーの杉本さん、実は野口さんと同級生だそうです。学生時代のアルバイトの頃から、野口さんの料理の大ファンで、職場が変わるたびにずーっとお店に通い続けていたそうです。
杉本さんご自身は、飲食とは全く違う分野のお仕事ですが、銀座のスペイン料理店で野口さんを通して杉山さんともつながり、ぜひ二人の料理を出す店をやろう、と開業の提案をされたそうです。
すごい・・・愛があふれてますね!とっても素敵なエピソードだなと思いました。
そう広くない厨房の中で、杉山さんと野口さんの動きは全く無駄がなく、料理をやりつつ、客席にも目を配って臨機応変に注文取りやドリンク提供に回る。忙しくても、グラスのお水が少なくなってくると必ず気づいてくれます。これができるお店、あまり多くはないんですよね。
想像を超えるメニューの数々は、杉山さんが主に考案されているそうです。野口さんは食材に精通していて、興味深いお話を熱く語ってくれます。
飲食業へのあふれる情熱と誠実なお人柄のシェフと、そんなお二人が大好きで温かく見守る、包み込むような雰囲気のオーナー。これ以上ないくらいの、素晴らしいチームワークですね。
国分寺のたくさんある他の飲食店にもマメに顔を出されて、早くも交流を深めていらっしゃるご様子で、街の盛り上げに貢献して下さっている感じがとても嬉しいです。
オープンしたばかりでも、この安心感・安定感はこのお三方あってこそなのだな、と実感しました。
とはいえ、インテリアもメニューも、まだまだいろいろと考えていることがあるとか・・・これはなんとも先が楽しみですね!
いやー、すっかり舌もココロも大満足して、お会計をと少し身をかがめたところ・・・。
ふとカウンターの下に目を止めるものを発見しました。

これはこれは・・・充電用?に電源とUSBのコンセントがあるではありませんか。
しかも、カウンター下のふちには、細いライトが通っていて、足元・手元が暗くなり過ぎないようになっています。
つくづくどこまでも、こだわりと心配りがステキなお店です。
このようにポテンシャルが半端ない杉乃屋さん。もうすぐ入店困難な繁盛店になってしまうかも!?ぜひこのこだわりっぷりと感動を、早いうちに体験してみてくださいね。

杉乃屋
住所:東京都国分寺市本町2-15-7
アクセス:JR中央線「国分寺駅」北口から徒歩約5分
連絡先:050-5456-3326
営業時間:17:00〜23:00
定休日:火曜日
駐車場なし