進化が止まらないスパイスパラダイス・餃子酒場ハルゾウ/国分寺市南町

ここ数年、どんどん過酷になっている夏の暑さ。
そんな季節にピッタリなのがスパイス料理ですよね。
ただ、スパイスと言っても辛いだけではなく、さまざまな香りや味の種類がありますし、それぞれに薬膳のようなはたらきもあります。

今回は、この多種多様なスパイスをフル活用しているお店をご紹介しますね。

その名も、餃子酒場 ハルゾウ。国分寺駅南口から斜め右に、ずらっと飲食店が立ち並ぶ通りの一角にあります。

「ハルゾウ」と書かれた大きなちょうちんがわかりやすい!
手前にはアジアンテイストのゾウさんの置物もあります。ハルゾウの「ゾウ」なのかな?(笑)

私はスパイス料理が大好きなので、ハルゾウさんはランチもディナーも何度か伺っているのですが、まずは夜の部からご紹介していきます。

楽しげな手書き看板に、親しみを覚えます♪
看板にも書いてある通り、2階にも席がある、1軒屋スタイルのお店になってます。

アートギャラリーのような、カラフルな店内

入り口の扉を開けると、1階は厨房、カウンター、テーブル席といった感じです。
写ってないですが、2人がけテーブル席はもう一つあります。コンパクトな空間を実にうまく工夫して活用していますね!
壁のゾウさんの絵がとってもかわいい♡

早めの時間に来た今のうちに、2階の様子も撮影させてもらうことにしました。

2階へ向かう小さな階段、オシャレなタイル模様が施されています。上はどんなかな?と、なんだかワクワクします!

おぉ〜、広い!1軒屋なので、天井も抜けていて、開放的♪
よく見るとゾウさんやらお猿さんやら、いろんな動物たちがくつろいでいます(笑)。
そしていろんな絵があって、壁がとってもカラフルです!

色彩のカオス!さながら手作りのアートギャラリーのような、楽しい雰囲気にあふれています。
なおかつ、本格的なDJブースまであります。イベントをやるのにもピッタリな空間で、楽しい。

スパイス満載のワクワクメニュー

さて、お店がこのようなしつらえになっているゆえんは、後ほど改めてご紹介するとして、まずはお待ちかねのメニューですね♪

まずはドリンクから。各種のお酒と、十分な種類のノンアルドリンクが揃っています。
しかも1杯売りのワインの種類も豊富♪
お酒は、どれも良心的すぎるお値段で、逆にたくさん飲んでしまいそうです(笑)。
続いて、フードメニューがこちら。

おお〜、多すぎず、バランスもよく、選びやすい♪ でも看板メニューの餃子は圧巻の12種類です!
調理法、味付けは違えど、すべての餃子にスパイスが入っているというわけですね。
これはすごい、全部食べたい!(一度には無理ですが……)
かわいい文字とイラスト付きでとってもわかりやすい、このメニュー表は、店主高橋さんの奥様作成なんだとか。イラストデザイナーさんをやられてるとのことで、さすがのクオリティですね!

定番以外の、その時々のメニューは、高橋さんのいる厨房手前・カウンター上部に短冊スタイルで並んでいます。

料理はすべて手作り、スパイス料理と相性抜群のドリンク

ではまず、ドリンク1杯目から。スパイス料理に合わせて、スパイス系のサワーをチョイスしました。
柑橘系の香り、マーガオというサワーです。
グラスまでなんとお店のロゴイラスト入り♪ゾウさんがめちゃかわいいです!

こちらは本日のお通し、ツルムラサキと甘長唐辛子のおひたしです。こくベジの販売所でもおなじみの夏野菜ですが、こちらは高橋さんの地元・東大和市産なのだそうですよ。
夏にピッタリのサッパリ味、スパイスサワーともよく合います。
続いては、冷菜部門からオススメ印がついている一品を注文。

アボガドユッケ豆腐です!食材とスパイスの色どりがとってもキレイですね。なんだか2階の壁アートを連想しちゃいます。
丁寧に細かくカットした具材が卵の黄身とよく絡んで、薄切りのお豆腐がまろやかにまとめ上げてくれています。赤いスパイスは、パプリカで辛くないので、全体的に優しいお味ですよ。
では次は、いよいよお店の看板メニュー・スパイス餃子です!

うわー、これまたカラフルな、キレイな一皿ですね!
お料理の色に合わせて黄色系のお皿に盛られているところも、カラーチョイス完璧。

焼き・茹で・揚げをコンプリートしたかったので、特別にお願いして、一品3個のところを2個づつにしていただきました。
まず、基本の焼き餃子は、スパイス餡と特製の皮をストレートに感じられる、最初に食べるべき一品といったところでしょうか。
メニューに記載されている「体の不調を整える5種のスパイス」とは、

カルダモン
クローブ
フェンネル
クミン
ブラックペッパー

なのだそうです。これが12種類のすべての餃子に入っているというわけですね。
他のメニューにも共通しているのですが、辛味の強いスパイスが入っていないので、複雑な味と香りを存分に楽しめます。
テーブルに辛味オイル(これはかなり辛いです!)があるので、お好みで味変もできますよ。

餃子に戻って、茹で餃子は緑色が鮮やかな、ジェノベーゼ餃子。チェダーチーズソースが敷いてあり、モチモチの特製皮と相まってラザニアのような食感です。

そして、揚げ餃子はしば漬け入り濃厚タルタル餃子。ピンクのタルタルソースがキレイです♪揚げた皮はとてもパリッとしていて、よりおつまみっぽい雰囲気。卵多めの濃厚タルタルソースにベストマッチでした!

うまみたっぷりの餃子に合わせて、今度はスパイス料理に合う、というチリの白ワインを注文。

透明感あるアクリルの升が、実にさわやかですね。そして、確かに餃子にすごく合う!

餃子でかなりお腹いっぱいになってしまいましたが、最後にもう一品、カレー肉味噌ピーマンです。
氷でシメたというパリッパリの肉厚ピーマンに、優しいカレー味の肉味噌。もう最高!
後半は辛味オイルで味変、これはお酒を呼んでしまいます(笑)。

ということで、最後のドリンクは赤兎馬などで有名な酒造メーカーの香り系焼酎・チルグリーン bitter&tropicalです。
なんと、ホップが入っているとのことで、芳醇にしてさわやかな香り。珍しい!おいしい!スパイス料理によく合います。
1杯目にいただいたマーガオも、同じチルグリーンのシリーズだったみたいです。

ということで、夜の部は大満足でした♪

お米にもこだわる!渾身のカレー

では、スパイス料理と言えばカレー、もう一つの看板メニューを昼の部でいただいてきました。
カレーは、夜も注文できますが、ランチタイムでは限定でプレートにサラダが追加されます♪

ランチタイムの看板は「カレー屋」になってました。写真付きで、わかりやすいです!
2種類のレギュラーカレーと、1種類の限定カレーの構成になっています。

合いがけができたり、トッピングもたくさん種類があるので、いろんなバリエーションが楽しめそうです。
それにしても、なんとリーズナブルなお値段・・・単品価格が900円切るとは驚きです。
これはもう、当然のように3種盛りを注文です!

はい、こちらがチキン・キーマ・黒毛和牛(限定メニュー)の3種盛りです。味変用にアチャールやトマトペースト、ポテサラまで付いて、本格的ですね!
取材の日の限定カレーは黒毛和牛でしたが、このほかにも魚介系の具やほうれん草にココナツとベースもバラエティに富んだおいしそうなカレーがいろいろとありますよ。
細長い形状のライスは、タイ米の最高級品種、通称ジャスミンライスというものだそうです。
パラっとした炊きあがりで、スパイスカレーには最高のお供ですね。

夜の部同様、卓上の辛味オイルで辛さ調整する形なので、カレー自体は全然辛くありません。その分、繊細なスパイスの風味がよりわかりやすく感じられます。

辛くないけどスパイシー、満足感あるけど胃もたれしない。
看板の文言通り、一度食べたらクセになるやつ!

12時を回ると続々とお客さんが入って来ました。クセになってる人、多いみたい(笑)。

スパイス餃子誕生秘話

さて、ハルゾウさんならではのスパイス餃子ですが、どのようにしてこのメニューは誕生したのでしょうか?
店主・高橋さんにお話をうかがいました。

レンガやしっくい風の壁に木枠の窓・・・どことなくノスタルジーのただようお店ですが、実は長年この外観で飲食店としてこの場所に存在してきました。

始めはアジア各国料理店「リトル アジア」として。私も若い頃食べに行った覚えがあります。
街路樹が見える、2階の木枠の窓辺の雰囲気は当時から少しも変わっていません。

その後、2010年前後にイタリアン餃バル「HARU DINING」というお店にチェンジ。
そして、高橋さんはこのお店でアルバイトをされていたのです。

この頃、ロック系のバンド活動をされていたという高橋さん、あらゆるジャンルの飲食店でアルバイトにも励んだそうですが、「HARU DINING」の店主さんに感銘を受け、師匠と思い尊敬していたのだとか。
その後、高橋さんは地元・東大和市内にあった沖縄料理店「エレファント カフェ」に移ったのですが、ちょうどコロナ禍となり仕入れもままならない苦しい状態の中、食品ロスの少ないスパイス料理に移行すべく、店主さんと研究を重ねていたそうです。

コロナが収束に向かった頃、HARU DINING店主さんに久しぶりに連絡してみたところ、「一緒に店をやってみないか?」というお話しがあったそうです。

こうして、店主さんと高橋さんで、それぞれの得意分野である餃子とスパイス料理の2系統を提供する新たなお店として、2024年春に再出発となりました。

「ハルゾウ」という店名は、高橋さんが尊敬する2人の店主さんの店名を半分づつ取って名付けたのだそうです。

なるほどそれで!
お世話になった方々へのリスペクトの心を忘れないこの精神、素敵ですね。

ただ、ほどなくして元HARUの店主さんは体調を崩してしまい、復帰までの間は高橋さんが一人で頑張っているとのこと。

そこで、師匠が担当していた餃子も、高橋さんの得意分野であるスパイスを取り入れるレシピに変更。これが、スパイス餃子の始まりだったというわけです。

厨房の棚には、スパイスの容器がたくさん積み上がっています。

常に進化するチャレンジ精神と、人を巻き込む人間力

高橋さんと二人の師匠の想いが融合して生まれたスパイス餃子ですが、ここで終わる高橋さんではなかったです。

トッピングソースは、季節も考えつつ常に新しいものが出てきますし、皮は業者さんに特注委託製造しているそうです。
しかも、材料の配合や皮の厚さはミリ単位で調整を重ねて、包み方も何度も変更。

より良いものを目指して、同じところには留まらない高橋さんのチャレンジ精神は素晴らしいです!

これに加えて、人を巻き込む人間力もすごいのです。
かつてのバンド仲間だった方が、スタッフとして手伝いに入ってくれたり、学生アルバイトさんにもどんどん仕事を任せていっています。

「オレがいなくても店が回るようになってもらって、更に新しいことをやりたい」
こんな感じのことを厨房で会話しているのがうっすら聞こえてきました。

苦労して開発したレシピや技は、そうそう人には渡せない、という考えもあるかもしれませんが、これはもう、度量の大きな経営者の発言だな、と思ってしまいました。

任せ上手は、教え上手。
お通しの作り方をアルバイト君に丁寧に教えているのが見えたりしましたが、驚いたのは、こだわりまくっている餃子の皮包みを別なアルバイトさんに任せていることです。

見てください!この、まるで3Dプリンターで作ったかのような寸分違わぬ形状と、芸術的な美しい並べ方を。
アルバイトさんは美大生だそうで、なるほど手先が器用なのね、さすが美大生♪とも思いますが、ここまで教え込んでしまう高橋さんもすごいなーと感心してしまいました。
こうして、やや厚めの皮をきっちりと丁寧に閉じていることで、プリプリ食感と噛むまで絶対に肉汁を外に漏れさせない究極の餃子に仕上がっているのですね。

お通し担当のアルバイト君も、よく気が付くステキな接客でしたよ。
良きアルバイトは良き店主のもとに集まる、といったところでしょうか。

そして、内装もすべて手作り、ということなのですが、こちらもまたいろんな人を巻き込んで完成させたようです。
さまざまな特技を持つ友人・知人の皆さんが、サイズぴったりのテーブルやカウンターを作ってくれたり、壁にアートな絵を描いてくれたり。

お店全体になんだかあったかい空気がただよっているのは、高橋さんと、たくさんの人の信頼関係がベースになっているのかもしれません。
そんな仲間が集まって、楽しいライブイベントが催されることもあるようですよ。

さて、いかがだったでしょうか?
この場所に昔からあった飲食店のエッセンスをいい感じに引き継いで、出来上がってきたハルゾウさん。
これからの進化にも目が離せません。
ぜひ、かわいいゾウさんとおいしいスパイス料理に会いに行ってみてくださいね。

餃子酒場 ハルゾウ
住所:東京都国分寺市南町3-18-4
アクセス:JR中央線「国分寺駅」南口徒歩約2分
連絡先:042-312-2926
営業時間:11:30〜14:30(カレーランチ)/17:00〜23:00
定休日:月曜日
駐車場なし

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。