本格フレンチと夢のコラボ!・嶋寿司/国分寺市光町

パスタとお寿司両方が食べられるお店がある、と言ったらどんなお店を想像しますか?
チェーン店?ファミレス?フードコート?
いえいえ、寿司職人とフレンチシェフがいる、老舗寿司店なのです。

そんな、耳を疑ってしまうようなユニークなお店は、国立駅が最寄りの光町にあります。
創業40年の、嶋寿司さんです。

中央線国立駅の北口を降りて、光町通りをまっすぐ5分ほど北上。通りからL字に窪んだ裏路地があり、飲食店横丁のような雰囲気になっている一角に嶋寿司さんがあります。
老舗寿司店のイメージそのままの、王道クラシカルな店構え!風格ありますね〜。
早速入ってみようと入り口に近づくと・・・。

お昼時だったので、ランチメニューが出ていたのですが、左側の黒地部分には何やら洋風のメニューが・・・。
一体、どうなってるの!?

昭和レトロ感あふれる落ち着いた店内

格子戸を開けて中に入ってみると、これまた老舗寿司店イメージそのままの、純和風な店内です。

分厚い1枚板のテーブルや、障子窓のある小上がり。招き猫のかたわらにはピンク電話!
今となっては貴重な内装ですよね。さすが老舗。
若い世代には、この昭和レトロ感が新鮮な魅力に感じられるのではないでしょうか。
木をふんだんに使用した純和風の内装は、やっぱり落ち着きますよね。

カウンター内側の壁には、野球選手やタレントさんのサイン色紙が飾られていました。
テレビのバラエティ番組にも出られたんですね、すごい。歴史を感じますねー!

何度来ても飽きない!無限のメニュー組み合わせ

ひとしきり昭和の風格に圧倒されてしまいましたが、メニューを決めないといけません(笑)。
とはいえ、メニューは先ほどの通り、これはかなり迷ってしまいますね。

お寿司とパスタのどちらにするかだけでも、悩んでしまいます。
しかも、前菜セットとか、デザートセットとか!?
いろんな組み合わせのメニューが考えられますよね、これは何度来ても飽きなさそう。
ご近所だったら通ってしまいそうです。

迷いすぎて、固まってしまっていると、奥の厨房からおかみさんが、焼きたての湯気でほかほかしている卵焼きを運んできてカウンターにポンと置かれました。

いけません。こんなものを見てしまったら、もうメインはお寿司で決定です。
卵焼きがしっかり味わえる握り寿司に、デザートセットをつけることにしました!

お寿司屋さんの卵焼きって、どうしてこうも美味しそうに見えるのでしょうね。
端正に角のついたフォルムに、黄金色のツヤが美しい黄色。
ホカホカの湯気まで出しているなんて、そこはズルいです(笑)。

料理ジャンルをまたぐ夢のコラボランチ

注文が通ると、大将が手際よくお寿司を握り始め、あっという間に完成。
絶妙のタイミングでおかみさんがお吸い物を運んできてくれました。

桶に入ったお寿司、久しぶりです♪
そしてこの、王道のネタのラインナップ!
マグロ、えび、イカタコに光りモノ。期待を裏切りません。

でも、期待に応えるためには、常にこのネタを揃えておかなければならないのが、お寿司屋さんならではのとても大変な部分なのかなと思います。
同じ鮮魚を扱う飲食店でも、和食店や居酒屋さんなら「今日は良いマグロがなかったから」と、マグロなしでもお店は開けられますが、お寿司屋さんともなるとそうはいきませんからね。

ありがたく、この王道ネタをいただきました。
良い意味で「普通に美味しい」、ケレン味のない安心する美味しさでした♪
お吸い物も、具が多めでやさしい味わい、「これこれ!」とうなずいてしまいました。

ほどよくおなかいっぱいになり、幸せな気持ちになっていると、世界が一変!デザートの登場です。

なんとー!美しい、季節感あふれるイチゴのブランマンジェ、ですね。
目にも鮮やかな赤と白に、キャラメリゼされた薄いクッキーとピスタチオのフレークが程よく調和して、器の黒が全体を引き締める。
完璧なビジュアルに感動ですー!
お味ももちろん、上品で柔らかくて、うっとりする美味しさ。ピスタチオが、色だけでなく香りでもとてもよいアクセントになっていましたよ。

こんな夢のようなコラボランチがいただけるお店、そうそうないですよね。
それにしても、なぜこのようなスタイルのお店になったのでしょうか?

日仏料理コラボ実現の意外なきっかけ

そもそも、嶋寿司さんの始まりは、昭和42年(1967年)。
大将・平嶋さんのお父様が会社員から転向して、寿司店を創業されたそうです。

さらには、当時周辺にあった空地に小屋をいくつも建てて、個室バーベキューのようなお店を営業されていたとのこと。
今で言う、グランピングみたいな発想ですよね。それを50年以上前にやっていたとは驚きです。
なんとフロンティア精神に満ちた先代だったのでしょう!
そうこうしているうちに、10年後の昭和52年に、現在の光町に2号店をオープン。

平嶋さんは、気が付けば2代目の寿司職人としてお店に立つようになられたとか。
「親父にだまされたんですよー」なんておっしゃってましたが、それだけでは40年もお店を続けることはできないと思います。

お客様は、街の人たちから近隣の鉄道会社や地域の消防団まで、幅広い客層で、毎週末はカウンターに常連さんがズラリと並びます。
きっとみなさん、お寿司の味だけでなく、気さくでフレンドリーな中にも、温かいやさしい笑顔の大将とおかみさんのお人柄に惚れ込んでいらっしゃるのでしょうね。

そして、3代目の息子さんは、なぜフレンチシェフ?なのでしょう。
実は3代目は元々、吉祥寺にあった老舗超有名フレンチで長年働かれていたそうです。
お店で頼りにされるほどの存在になっていましたが、さらなる料理の腕の研鑽をこころざし、本場フランス・パリに留学するため、退職。

これまた思い切りましたね・・・初代のDNAが、しっかり受け継がれています。

しかし、留学の準備をしている最中、パリで大規模なテロが発生。
「わざわざ危険な場所へ行くのはどうなのか」。家族会議を重ねた結果、留学を見送ることになりました。

身の振り方を考えあぐねていた時、2代目のひとことが。
「ウチでフレンチやっちゃえば?」
なかなか思い付かないことを、軽やか〜に提案しちゃう2代目、最高にカッコいいです!

かくして、老舗寿司店と本格フレンチのコラボが実現した、というワケです。
すごいエピソードですが、めちゃくちゃ納得ですね。

何にもとらわれずに好きなものを選べる楽しさ

ふと気付くと、テーブル席には男女2人のお客様がいて、かたやお寿司、かたやパスタを食べていました。
これも嶋寿司さんならではのお楽しみですね。
いーなー、私もやってみたい!

この日はもうおなかいっぱいなので、友人を誘って夜に再訪しました。
今度は2人分注文できるから、どんどん行くぞー、とやる気満々です(笑)。

ということで、まずは前菜セットからスタートしました。

うわーー!なんてキレイなテリーヌ2種♪ そしてお魚のエスカベッシュ。
まさにフレンチ王道の前菜ですね。

手前はこくベジ野菜のテリーヌ、切り口が芸術的すぎます!
美しくて、ヘルシーで、野菜の食感と香りが存分に味わえる美味しさ。
定番のテリーヌも、優しい味付けでこれまた良きです。
エスカベッシュは酢の塩梅が絶妙でしたね〜。

そして、合間のお任せ握り寿司5貫。ランチとはまた違う雰囲気ですね。
ネットリ感があって美味しい!シャリが小さめだし、これならまだまだ、おなかに隙間はあります♪
こちらはテレビ番組撮影用に生まれたメニューなのだとか。
他にも色々食べたい時にはぴったりですね!

さて、このあたりでちょっと温かいものを食べたくなってきました。

こちらは、アツアツ!魚介のパイ包み焼きです。スプーンを入れた先には・・・

キレイな色合いの具にベシャメルソースが絡まって、テンション上がりまくり!
ホクホク・プリプリの美味しさで、一気に身体が温まりました。

2人でシェアしつつも、この時点で結構おなかが満たされてきたのですが・・・やはり気になるのはパスタです。
ここはもう行っちゃいましょう、ということで、迷いに迷って注文したパスタがこちら。

一番人気・海老のアメリケーヌパスタです。たっぷり海老が入って青菜のコントラストも美しいですね!カラスミのふりかけが期待感を盛り上げてくれます♪

お味は、濃厚ながらも絶妙の塩加減でメチャメチャおいしい!
海老はプリップリで、ソースをたっぷり含んだ青菜はとってもクリーミー。
しかもパスタが、アツアツにしてアルデンテなのです。これ、結構重要なんですよねー。

お店によっては、提供された時点でちょっと冷めていたりすることもありがち。
せっかくのおいしさが半減してしまうんですよね。
なので、火を通し過ぎることなくアツアツの状態で提供されると、感動します!

いやー、もう幸せな満腹感でございます。お友達も「おいしい」を連発しておりました(笑)。
大将、シェフ、ありがとうございます!

地域に愛される温かい空間

大満足のうちにおなかいっぱいになってしまいましたが、壁には美味しそうなお酒や、単品のお寿司、つまみのメニューもとても魅力的に映ります。
しかもリーズナブルなお値段のものばかり。これは、毎週のように通う常連さんが多いのも納得してしまいます。

夜におうかがいした時は、常連さんが次々とやってきて、カウンターは満席。
みなさん、まるで家族のように楽しそうにお話ししており、大将は笑顔でそれを聞きつつ、時には合いの手を入れたり。
そうこうしているうちに、「洋食弁当」のテイクアウトを受け取りにきた消防団の方がやってきて、またまた会話が盛り上がっていました。

みんなが顔見知りで、まるで地域の集会所のようです。それでいて、私たちのような、あまり見かけない存在がいても、なぜだか疎外感を感じない、温かい雰囲気に包まれています。
気軽でアットホームな地域のお寿司屋さん。貴重な存在ですね。

いかがだったでしょうか?
歴史が刻まれた老舗のお寿司と、一流フレンチシェフのコラボ。そしてお弁当のテイクアウトまで受けてくれる。
お客様が望むことは、できる範囲で何でもやってみようよ。
こんな、既成概念にとらわれないフロンティア精神は、創業当初から続いているのだなと感じます。
嶋寿司さんの今後も、とても楽しみです。

ぜひ一度、おいしくて・ユニークで・温かいお店の雰囲気を体験してみてくださいね。

嶋寿司
住所:東京都国分寺市光町1-38-22
アクセス:JR中央線「国立駅」北口徒歩約5分
連絡先:042-576-2424
営業時間: 11:30〜22:00(土日は20:00閉店)
定休日:月曜日・第1第3火曜日
駐車場なし

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。