国分寺は、豊かな湧き水にめぐまれた町です。大田区まで約30km続く国分寺崖線(こくぶんじがいせん)沿いのあちこちに、姿見の池やお鷹の道・真姿の池湧水群などの湧き水スポットがあり、きれいな水がこんこんと湧きでています。
そんな国分寺の湧き水スポットの一つが新次郎池です。東京の名湧水57選にも選ばれています。
場所は国分寺市の東の端っこ。道路の向こうは、もう小金井市です。
東京経済大学のキャンパス内にあり、新次郎池という名前は第四代学長の北澤新次郎氏にちなんで名付けられたとのこと。
大学が開校しているときは自由に見学できるようなので、真夏の太陽がギラギラと照りつけるなか、涼しさを求めて新次郎池を訪ねてみました。
国分寺駅南口を出て、徒歩約13分ほどです。
東京経済大学の敷地へ

東京経済大学の南門から敷地内へ。一般に解放されているので、誰でも入ることができます。

池から流れ出た小川に沿って、木陰の下のこみちを歩きます。強い日差しがさえぎられているので涼しいです。
ところどころ木もれびがさして、明るくなっています。
草花は見られなかったのですが、ヤブミョウガが実をつけていました。

湧水をたたえた新次郎池


着きました!

池の周りはウッドデッキになっています。
ハートマークかと思いきや、東京経済大学のシンボルである葵(あおい)の葉の形なのだそうです。

背の高い木々にかこまれたウッドデッキ。けっこう広いです。
大学と地域を結ぶ「縁結び」のゾーンにもなっているとのこと。



池のまわりのあちこちから、水が湧き出ています。

昔は山葵田(わさびだ)として使われていたとのこと。水がきれいだからでしょうね。
都市のオアシス「東経の森」

出典 : 東京経済大学『環境への取り組み』
東京経済大学のキャンパスの中で新次郎池がある一帯は東経の森と名付けられています。大学が国分寺の地に移転してきてから、70年以上守り育ててきた貴重な森です。
ただし、一時期はシュロなどの外来種が増えて薄暗く、生きものも少ない森になっていました。
そこで、2012年から森と水のプロジェクトとして、大学と地域の市民が協力して下草刈りや間伐などをおこない、生きものが集まる明るい森をとりもどす活動が始まりました。
もともと国分寺など武蔵野では、人々が森に入って間伐や下草刈りなどさまざまな手入れをおこなうことで、美しい里山の風景をまもってきた歴史があります。放っておけば、うまくいくというわけではないんですね。

その後、東京経済大学では2020年に創立120周年記念事業として、新次郎池周辺整備工事をおこなうことになりました。大学と地域とをむすぶ「縁結び」をコンセプトに、皆が自然に親しめる居心地よい空間をめざして、2020年10月に無事完成。今のような形になりました。
ただし、完成した時期はちょうどコロナ禍のまっただなかでした。大学では登校が制限されキャンパスには人影もまばら。工事完成のイベントもできず、さびしいスタートだったそうです。
また、コロナ禍のあいだ作業を中止した影響で森の中が荒れたり、カシノナガキクイムシという害虫による被害で大木が枯れてしまったりとさまざまな苦労があったとのこと。
現在は、造園業者さんが入って下草刈りや間伐、植林などをおこない、森の若返りを目指しているそうです。この日も暑い中、業者さんが作業をされていました。
どんぐりの森
東経の森の中は、さえずりの森、みどりのトンネル、新次郎池のほとり、日だまり広場、どんぐりの森という5つのエリアに分かれています

こちらは、どんぐりの森です。クヌギやコナラなどの落葉樹が中心で、昔ながらの武蔵野の森の風景が見られます。

秋には、葉が色づき、どんぐりがたくさん実るのでしょうね。
みどりのトンネル

こちらは、みどりのトンネルのエリアです。コナラやクヌギ、ムクノキ、ミズキなど大木の緑が頭上にひろがります。

緑が濃くて、涼しいです。
さえずりの森

森の回廊の階段をおりて、さえずりの森の中へ。
ケヤキやシラカシ、イロハモミジなどの高木がならび、野鳥のすみかとなるエリアです。

展望パーゴラ・森のデッキ

上から新次郎池が見わたせる展望台です。開放的できもちよい空間ですね。

野川への流れ

新次郎池から流れ出た水は、どこに向かうのでしょうか。

小川となって

しばらく東京経済大学の敷地を流れます。


大学の外へ出て




道路に沿って流れ


野川へと合流します。


新次郎池から合流地点までは、ほんの数100mしかありません。
地下水が湧き出て小川となり、大きな川に流れこむところまでを自分の目で見て確認できる機会ってなかなかないですよね。
新次郎池から野川への流れと東経の森。コンパクトながら変化にとんだ地形と豊かな緑を楽しめます。
皆さんもぜひ足を運んでみてください。
新次郎池、東経の森
住所 : 東京都国分寺市南町1-7-34
アクセス : JR中央線・JR中央本線「国分寺駅」から徒歩 約13分
西武国分寺線・西武多摩湖線「国分寺駅」から徒歩 約13分
TEL : 042-328-7724(東京経済大学広報課)