まるで美術館?!近代的な外観が目を惹く共通財産保存場所 国分寺「東京都公文書館」

歴史的資料として高い価値をもつ「公文書」。今回は、そんな財産を保存し後世に伝えるため1968年に開設され、2020年4月に国分寺市東町へ移転し開館した「東京都公文書館」の魅力をご紹介します。

まるで美術館のよう!近代的でスマートな外観

JR西国分寺駅から徒歩8分、JR国分寺駅からは徒歩15分程の場所にある「東京都公文書館」。大通り沿いに面し、周囲には店舗や住居がないため近代的な外観の建物の大きさや美しさが目を惹きます。

「都立公文書館」は、市民、通勤者、通学者問わず無料で利用することができるんだそう。企画展示室で年2回開催される企画展ももちろん無料。私が訪問した時にはちょうど「江戸・東京を襲った大地震の実像」展がおこなわれていました。企画展も楽しみにしながら、エントランスへと進みます。

エントランスホールから曲線状に繋がる内観

地元多摩産材を使用した木目調のデザインと曲線状に広がる解放感あふれるエントランスがとても近代的。ポップなオリジナルキャラクターがお出迎えしてくれるという粋な演出も。窓際にはたくさんのベンチがあり、ゆっくり本を読んだり、書き物をしたりと、リラックスした時間も過ごせそうです。

机と椅子が常設された図書室は一番奥にあり、作業スペースとしてもおすすめ。今回は16時半ごろ訪問しましたが、館内には利用者があまりおらず落ち着いていて静かな環境でした。カフェ感覚で立ち寄れる国分寺の穴場スポットともいえそうです。

いたるところで解説をしてくれるキャラクターたち

オリジナルキャラクターのたぬき、ねこ、うさぎはまるで鳥獣戯画のような絶妙なかわいさ。館内のいたるところで説明パネルや映像に登場し、展示品についてわかりやすく、そして親しみやすく解説をしてくれています。

企画展示「江戸・東京を襲った大地震の実像」

常設展示室企画コーナーでは「江戸・東京を襲った大地震の実像」を開催(開催期間:2023年1月19日〜2月14日)。江戸から東京へ至る変遷が壁面いっぱいにグラフィックで紹介されていました。

地震の状況を記した資料や、地震に関する絵図を中心に展示されています。

『安政見聞誌』は、仮名垣魯文(かながきろぶん)(1829〜94)が記したとされる全3冊にも及ぶ安政江戸地震のルポルタージュです。震災の年に書かれ、安政年間に刊行されたんだそう。江戸の被害状況や、災害時の心得など、貴重な情報が記載されているとのこと。

展示品や説明文からもわかるように、とても繊細な絵の描写と、詳細な現地からの報告が記されていました。

『藤岡屋日記』は、江戸時代末期の江戸を中心とした事件や噂、天災などを詳細に記録し、まとめたもの。(写真:左)
『撰要永久録』は、現在の中央区京橋にあたる南伝馬町に居住した高野家の10代直孝、11代直寛、12代直清の3代にわたって編纂された書物になります。(写真:右)

展示品の数々が歴史的にみても価値が高くとても貴重な資料であることがうかがえますね。

『地震大花場所一覧図』というものが展示されていました。こちらは安政2年に発生した地震の被災情報をまとめた一覧図とのこと。地震の揺れそのものの被害と、地震が原因となる火事の被災状況を「くずれた場所=灰色」「焼場=朱色」と視覚的に分けてまとめられています。
約170年ほど前の資料になりますが、ここまで鮮明にデータとしてわかりやすく表現されていたことに、驚きです。

企画展全般をとおして、興味深い資料が展示され心奪われる素敵な経験ができました。

歴史的にも価値の高い資料が集まる図書館スペース

「東京都公文書館」には図書館スペースもあり、庁内刊行物や、東京都作成の書籍や書類、商業利用していた地図、江戸そして東京に関する資料が数多く保管されています。見学は自由ですが、残念ながら東京府文書、東京市文書などの重要文化財を含み、貸出はしていないとのこと。

しかし、ホームページを確認したところ、インターネットを利用して所蔵資料のデジタル画像等を検索し閲覧することができるようになっているんだそう。このようなデジタルアーカイブサービスや情報検索システムもあわせて利用しながら「東京都公文書館」を丸ごと楽しんでみるのもいいですね。

都立武蔵国分寺公園近くの自然豊かな環境で、近代的な外観と内観で「映え」を感じつつも、資料の歴史的価値に脱帽する。そんな過去と未来が繋がるステキ空間「東京都公文書館」。ぜひ、国分寺周辺にお越しの際はお散歩感覚で立ち寄ってみてください。

東京都公文書館
住所:東京都国分寺市泉町2丁目2番地21号
アクセス:JR中央線・武蔵野線「西国分寺駅」徒歩8分、「国分寺駅」徒歩15分
     京王バス・寺85系統「いずみプラザ前」徒歩4分
     ぶんバス・万葉けやきルート、日吉町ルート、北町ルート「西国分寺駅東」徒歩5分
電話:042-313-8440
営業時間:月~土 9時~17時(受付時間は16時30分まで)
休館日:日曜日、国民の祝日及び振替休日、毎月第3水曜日(祝日の場合は翌日)
    年度末日(日曜日の場合は前日)、年末年始(12月28日~1月4日)
    その他臨時休館日として公示した日

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。